大人数にクロースアップマジックを見せるということ

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    野島です。

     

    この数年、特にFISMで負けておめおめと帰ってきてから

    「舞台でクロースアップマジックをやる」ということについてずっと考えていました。
     

    FISMでは3000人を相手にクロースアップマジックを行い、喝采を浴びるマジシャンを見ました。

    一方で、素晴らしい現象なのにウケ方が悪い人も見ました。

    これは、「観客に現象が届いていない」のだと思います。

     

    つまり、「演技の届く範囲」が足りていないのです。

    この範囲を私は勝手に「パフォーマンスエリア」と呼んでいます。

    つまり、劇場でクロースアップマジックを見せるには、マジックそのものの練習の他に「パフォーマンスエリア」を広げる必要があるということです。

     

    今のところの私の意見をまとめてみました。

    同じことで悩んでいる方の参考になれば幸いです。

    まず最初に伝えたいのは「パフォーマンスエリアを広げるためには、3つの要素を意識する必要がある」ということです。

    どれかひとつだけクリアしていれば良いということではありません。次の3つの要素をすべてクリアして初めてエリアが広がります。逆に、どれかがかけてしまうと、アンバランスで見ずらい演技になります。

     

    3つの要素を先に言うと、「態度」「演目」「見せ方」です。

     

    ひとつずつ見ていきましょう。

     

    1・態度

    本来のクロースアップマジックは、1対1、もしくは数人に見せるものですよね。つまり「目の前にいる人のために演じている」という意味合いがとても強いのです。これは相手が何人、何十人、何百人になっても同じです。「この演者は不特定多数にマジックを見せている」と思われたら、観客は演技を見なくなります。

    だから、すべての観客と目を合わせるのです。不特定多数ではなく、観客一人一人と繋がろうとする気持ちが大事です。

    プロジェクターを通して演技をする時でも、物理的に客席と目が合わせられないような状況でも、音楽に合わせて無言で演技をする場合でも「会場の全員にマジックを見せているんだ」ということを絶対に忘れないでください。

     

    2・演目

    どんなに素晴らしいマジックでも、見えなかったら意味がありません。小さい現象は避けた方が無難です。

    「プロジェクターで映せば小さい現象でも大人数に見せられるのでは?」

    そう思っていた時期が、私にもありました。

    しかし、現実は残酷。

    カードマジックを投影する場合、なんと残念なことに赤いカードと黒いカードの区別がつかなくなります。

    銀貨と銅貨の区別もつきません。

    上記の「態度」によって観客からの注目を集めたとしても、現象が見えないのだったら話になりません。

    ですので、「そもそも現象が見えるのか?」ということを事前にチェックするようにしましょう。

    練習時に友人にできるだけ遠くからマジックを見てもらうのです。

    これで理解できる現象とできない現象がはっきりわかります。

    また、プロジェクターで投影してマジックを行う方は、カメラで撮る時に、自分の理想の画角よりもずっと引いた状態で撮ってみてください。というのも、カメラマンは演者の想定よりもずっと引きで撮っていることが多いからです。

    それでも現象が見えるようならば、安心して舞台に持ち込めます。

     

    3・見せ方

    本来の1対1のクロースアップマジックと、舞台で見せるクロースアップの1番の違いはこの「見せ方」になるでしょう。

    「見せ方」を工夫すると、上記の「演目」で見えない物も演じられるようになる場合があります。

    例えば、予言のマジックを行う場合に、予言の紙を観客に読んでもらうことで、「その内容が書いてある」ことの証明になります。

    昔スペインのマジシャン、ミゲル・アンヘルヘアが、大人数を相手に輪ゴムを使ったカード当てを演じていました。

    輪ゴムは細いですから、デックに巻き付けても見えません。

    しかし、彼は輪ゴムを弾いて音を出すことで「そこに輪ゴムがある」ことを示しました。

    何回か弾くと突然音がしなくなります。これで客席に「輪ゴムが消えたこと」が伝わったのです。

    つまり、見せ方とは「舞台におけるマジックでは、すべてが見えている必要はなく、観客にどう納得をしてもらえるか」を考えることです。

    コインを示す時にできるだけ指先に持った方が良いかな?とか

    もう少し立てて示せないかな?とか

    テーブルに置くと見えにくいから観客に持っていてもらおうかな?など

    すべての動きを舞台用にカスタマイズする必要があります。

    舞台というと大きく動くものと思われがちですが、基本的に身体動作と現象の大きさは比例すると思ってください。

    例えばアンビシャスカードやオイル&ウォーターは現象が小さいです。多くの人に見せようとして腕を大きく動かしてしまうとひどく見にくくなります。

    カードアクロスやカードトゥポケットなどは比較的大きい現象です。マジカルジェスチャーはたっぷりと大きくやっても問題ありません。

     

    以上の3つの要素は、どれが欠けてもいけません。また、どうしても一人では判断できないことが多くあります。舞台で演じる場合は、できる限り人に見ていただきフィードバックを繰り返して改良をしていく、そんな地道な作業の繰り返しになるでしょう。

     

    というわけで、読み直すと当たり前のことを書いているような気がしますが、でも、当たり前のことをこなすのって難しいんですよねえ。僕も次のFISMを目指して頑張ります!


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